白井克典設計事務所

Shirai Katsunori

中央工学校 RISE・17号館

DATA
設計・建築:白井克典設計事務所
施工:岩本組
所在地:東京都北区
CHUO COLLEGE OF TECHNOLOGY RISE ・THE 17TH BUILDING
architects: KATSUNORI SHIRAI ARCHITECTS
構造:TIS&PARTNERS
設備:テーテンス事務所
敷地面積:RISE:592.40m2  17号館:1,375.74m2
建築面積:RISE:342.48m2  17号館:528.55m2
延床面積:RISE:995.19m2  17号館:2,251.84m2
階数:RISE:地上5階  17号館:地上5階 塔屋1階
構造:鉄筋コンクリート厚肉床壁造(TWFS) 一部鉄骨造
工期:2007年9月〜2008年12月
撮影:稲継泰介

100周年を記念する増築

建築の教育で伝統ある中央工学校は、2009年10月21日に創立100周年を迎えた。創立85周年時に林雅子先生の設計による研修ホール「STEP 中央工学校創立85周年記念館」をつくり、これまで繋がりのなかった校舎群を結ぶ整備をして学校は大きく変化した。このプロジェクトはSTEPの東隣に図書館と学生の集う施設となるRISEと17号館の建て替えによってさらに充実した学校環境を作ることが求められた。

3つの建物がつくり出す環境

設計では、学校施設の核となっているSTEPとの関係をつくり、外部環境を一体化することに重点を置いた。RISEはSTEPと同じ12mの高低差の崖地に建つため、斜面を支えるよう建物を配置して高台に中庭を設けている。隣り合う2つの建築の特徴を活かすため、RISEの屋根は軒先をSTEPに揃え、斜面を駆け上るような単純な片流れにし、17号館のガラス屋根までラインを延長した角度に納めている。大きな三角形の断面をした骨格の1、2階の落ち着いた空間に図書館、3階に学生ラウンジ、中庭を見渡せる4階にギャラリーを設けた。大きな斜め天井は1階から5階まですべて吹き抜け、道路から高台の17号館まで見渡せる構成にし、各階ごとにずらした階段が建物内を巡りながら変化する空間の表情を感じ取れる動線を作っている。
17号館の教室は中庭に向けて、開口部が設けられている。各教室から中庭の20mの高さのある樹木を通してRISE、STEPを見通した時、各階のレベルによってふたつの建築の外部環境が異なる様子が意識される。内部には1〜3階に吹き抜けたホールを設け、木造軸組の原寸大模型が置かれている。学生が高さのスケールを建物内で意識できるように仕掛けている。

空間の骨格を学ぶ場所

3つの「空間の骨格」が明快な建築によって構成された中庭からは、それぞれのスケールが関係付けられていることが十分認識でき、STEPとRISEを結ぶツリーデッキにそびえるケヤキの大木が一体感のある外部空間を象徴している。学生たちが「空間の骨格」を学び取る校舎となった。(白井克典)

林雅子氏設計の「STEP」のルーフガーデンより。 RISE(正面)と17号館 (右)の間の中庭を見る。正面は既存のケヤキを活かしたツリーデッキ。

前面道路よりRISEのエントランスを見る。軒の高さは隣接するSTEPと同じ3,530mm、屋根の仕上げは厚さ0.45mmの銅板横葺き。

既存のSTEPルーフガーデンと一体となった中庭を見下ろす。中庭は前面道路から高さ12mの位置にあり、RISEと17号館の間には前面道路への階段が新たに設けられた。17号館のガラス屋根はRISEの屋根の延長線上に設けられ、勾配は同じ8.5/10。手前はSTEPルーフガーデンのテント。

RISEのエントランスより内部をみる。1階ホールの床は磁器質大判床タイル。床下には全面に床暖房設備が設けられ、建物全体の空調として機能する。

17号館の教室。中庭側を見る。柱梁のない鉄筋コンクリート厚肉床壁構造。両側の壁の間は収納。

17号館3階ホールから高さ9mの吹き抜けを見下ろす。1〜3階の床はオーク。防火シャッターの柱には寸法がメートルと尺で入れられている。手摺りは強化ガラス。

RISEのサンテラスを見る。床は陶磁器質タイル

2階図書館。閲覧スペースを見る。床はアフゼリアのウノパークパターン貼り。

4階への階段からの見下ろし。屋根の中央を直径80mmのスチール無垢材が支える。

中庭から17号館エントランスを見る

新しく設けられたRISEの東側の階段。中庭へと繋がる。

ルーフテラスのルーフデッキ

17号館の5階ホール

RISEの暖房方式

建物を外断熱し、夜間電力を利用したヒートポンプ熱源機によって温水をつくり、1階床スラブ全面に低温の熱を蓄熱させる。これにより床・壁・天井の平均放射温度を上げ、放射熱によって1階から5階まで効率的に暖まり、陽だまりのような温熱環境をつくる。一般的なエアコンシステムに比べランニングコストを80%、CO2発生量も55%削減できる。(庄司哲人/テーテンス事務所)

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